第56回日本整形外科学会 骨・軟部腫瘍学術集会を西田淳会長のもと2023年7 月13 日(木)・14日(金)の日程で、東京都新宿区(京王プラザホテル)にて開催させていただき、猛暑の中での開催となりましたが、天候にも恵まれ約1000名のご参加をいただき無事終了することができました。
当教室では1995年に三浦幸雄先生のもと第28回日本整形外科学会骨・軟部腫瘍学術集会を開催させていただいており約30年を経て2回目の主催となりました。また、2020年には山本謙吾主任教授のもと第35回日本整形外科学会基礎学術集会を開催させていただき、比較的短期間に日本整形外科学会の学術集会を複数回担当させていただけたことは、非常に名誉なこととであり、またCOVID-19も比較的落ち着き、久しぶりの現地開催とのこともあり、有意義な学術集会にするため医局員一同準備に当たらせていただきました。
学会のテーマは、「骨軟部腫瘍治療の未来:Jaffe のトライアングルに立ち返りながら」としました。Jaffeのトライアングルとは1958年にProf. Henry L. Jaffeが書いた教科書の冒頭に記載されている言葉で、整形外科医、病理医、放射線診断医の3者が共同して骨腫瘍の診断・治療を行わなければならないという考え方です。現在においても、腫瘍診断、治療においては画像診断、組織診断、化学療法、手術、リハビリテーション、緩和医療を併せたチーム医療が極めて重要で、これはいわゆるJaffe のトライアングルに通じていると考え、原点に立ち返る意味もあり、今回のテーマに選ばせていただき、テーマに沿って様々なプログラムを企画させていただきました。
特別講演として,江原茂先生に「骨腫瘍画像診断における自分史の試み」を、土屋弘行先生に「わが「夢・挑戦・実現」―そして未来へ―」をご講演いただきました。招待講演は海外から、Harvard 大学Dana-Farber 研究所のCigall Kadoch 先生、National Cancer Center of Korea のHyun-Guy Kang 先生、ACR Institute for Radiologic Pathology のMark D. Murphey 先生、Mount Elizabeth Medical Center のSaminathan Suresh Nathan 先生、British Columbia 大学のTorsten O. Nielsen 先生、Mayo Clinic のPeter S. Rose 先生、Padova 大学のPietro Ruggieri 先生にご講演をいただきました。シンポジウムとして、「骨・軟部腫瘍の教育と専門医育成」「骨・軟部腫瘍領域におけるゲノム医療の現状と未来」「上肢骨・軟部腫瘍の再建術:課題と対策」「骨修飾剤の功罪」「これからの生物学的再建」「小児骨・軟部腫瘍の治療:進歩と課題」、
パネルディスカッションとして「がんロコモのこれから」「骨・軟部腫瘍に対する重粒子線療法の現状と課題」「骨転移とどう向き合うか」「Pandemic下の骨軟部腫瘍医療」、主題として、「骨転移の治療1」「骨転移の治療 2」「進行期の骨軟部腫瘍の治療」「術後合併症対策」「新たな薬物療法」、また、骨・軟部腫瘍の画像診断,病理診断,切除縁,機能再建法,化学療法,ゲノム解析に関して「Jaffe のトライアングルセミナー」として、各領域においてご活躍の先生方からご講演をいただくことができました。
まさに今回のテーマ通り、整形外科医、病理医、放射線診断医等各方面の先生方多数にご参加いただき、すべてのセッションで活発な討議がされ、無事盛会のうちに終了することができました。
小山尊士