今回2025年4月10日から11日にかけて2日間で開催された日本手外科学会へと参加させて頂きましたので、ご報告させて頂きます。


本学会は、1957年に創立された学会であり、日本国内の手及び上肢に関する疾病又は傷害に関わる患者、その家族、その他の治療、リハビリテーション等の援助を必要とする人々に対して、最新の医療情報とサービスを提供し、全ての人々が健康で文化的な生活ができる地域社会づくりと社会全体の利益の増進に寄与することを目的とされております。

第68回である今回は横浜で執り行われました。

神奈川県出身の自分としては、地元(実際の地元は神奈川の田舎ですが)に帰ってきたような気持ちにさせてくれる場所であります。

今回、東京医大からは4題(一般口演3題、オンデマンド1題)の発表を行わせて頂きました。

今回、加内先生が初めて手外科学会での発表でありました。オンデマンドではありましたが、手外科学会での発表を無事終えることが出来ました。

また、現在東京医大整形外科では循環器内科と連携をして、手根管症候群とアミロイドーシスについての前向き研究が倫理審査を無事に通過し開始となりました。

今まで、対症療法しか治療方法のなかった野生型トランスサイレチン心アミロイドーシスに対して、数年前に発症を予防し生命予後を改善するタファミジスという薬が承認されました。

これによって、心アミロイドーシスの早期発見の重要性が高まり、その早期発見の手段として注目されているのが手根管症候です。というのも、心アミロイドーシスの発症の数年前に手根管内にアミロイドが沈着し、心アミロイドーシスよりも先に手根管症候を発症することが知られており、整形外科と循環器内科の連携の重要性が近年盛んに報告されるようになりました。

当院でも一人でも多くの患者さんの命を救えるよう、手根管症候群の患者さんには説明をさせていただき、必要に応じて循環器内科と連携をとり、心臓のスクリーニング検査を実施しております。また、この度2025年5月から新たに心アミロイドーシス専門外来もスタートします。

同症状でお悩みの患者さんがいらっしゃいましたら一度ぜひ整形外科をご受診ください。また、近隣の整形外科の先生方からもご不明な点や、ご質問がございましたら遠慮なくご連絡ください。今後、地域の先生方への情報交換会等も行わせて頂きたいと思っております。

(引用元:日本整形外科学会 「手根管症候群」より引用)

今回の学会参加を通じ、また新たに様々な知見に触れることができました。本学会のテーマの”well-being”の名のごとく、”健康で安心な、満足できる生活状態”の手の機能を実現するためにこれからも研鑽を続けていきたいと思います。

また、来年度の手外科学会は、福岡での開催となります。これからも、日々の臨床・研究・教育業務に精進していきたいと思います。最後に、木、金曜日と学会参加のため、お休みを頂きましたことをこの場を借りて上肢・腫瘍グループ一同より御礼申し上げます。

整形外科 市川 裕一