こんにちは、スポーツ関節鏡グループの関健です。2023年3月4日に第9回日本舞台医学研究会が開催されました。今回は当大学が主幹校となり、東京医大病院の臨床講堂で開催されました。私は昨年に引き続き発表をさせていただき、バレエダンサーの障害発生について報告を行いました。

バレエについては昨年の日本舞台医学研究会でも参加報告を記事にしているので下記をご覧ください。

舞台芸術に対するメディカルサポート | 東京医科大学 整形外科学分野 (tmuortho.net)

当研究会では、一般口演と特別講演に分かれており、一般口演では他大学の貴重な症例報告を聴講させていただきました。芸術分野に対する医療はまだまだ発展途上であり、実際にバレエ経験者である整形外科医の先生の発表やダンサーに特異的で稀な障害の治療経験など非常に勉強になる口演ばかりでした。

特別講演では、箱根リハビリテーション病院神経内科の堀内正浩先生から音楽家の手の障害に関する講演を行っていただきました。また、芸術分野の著名人による対談形式の講演も毎回行われ、今回は作曲家であり文化庁長官でもある都倉俊一さんと東京慈恵会医科大学の丸毛啓史特命教授が参加されました。時々整形外科を受診することもありますが、治療を行える医師が少ないジストニアに対する神経内科的な介入や、不要不急が騒がれたコロナ禍での給付金減額による芸術分野に対する文化庁の苦悩などの話が印象的でした。

「作曲、音楽」と「整形外科」のつながりはあまりピンとこないように、芸術分野の障害に対するサポートを整形外科だけですべてをカバーすることは難しいことです。

多職種で介入を行うことで「作曲、音楽」と「医学」が線でつながり、メディカルサポートの体制を整えていくことが必要であることを強く感じ、整形外科医以外の講演を聞くことができた非常に貴重な機会でした。

日本の芸術家は個々で活動してる方が多く、現場サポートは海外と比べて遅れていると言われています。しかし、世界では芸術分野は発展を続け、パリオリンオピックではプレイキンが新種目に決定するなどスポーツ分野にも進出しています。今後、スポーツと同じようにメディカルサポートの体制が整い、パフォーマーがより安心して活動ができるようになればと思っています。