3月 後半 転倒と歩行分析

今週の抄読会の内容(Age and Agineg 2005 34;556-560)によると、 Falls are a major source of morbidity and mortality in the elderly; the consequence include significant injury, fractures, hospital admission and even death.と転倒によって引き起こされる骨折から死亡までのリスクと、それを予防するための歩行分析の意義について述べられています。特に頸髄症など中枢神経障害は、腰椎疾患と異なり疼痛障害で発症することが少なく医療機関へのfirst contactが遅れがちとなります。初療時も患者の歩行状態の評価が客観的でないために、歩行距離以外に疼痛しびれ以外の不自由さをどのように評価するか不確かです。歩行分析によって転倒リスクを評価できるならば手術の遅れによる転倒や骨折を防ぐことができます。当科では、転倒と歩行分析による研究により不幸な転倒を予防できるよう取り組んでいます。上図が正常歩行分析で、足跡はストライプが長く、足先は前を向いています。歩行速度は時速3.9km。下図は転倒リスクのある頸髄症患者さんで、歩幅が狭く、足先が外を向いています。歩行速度は時速1.2kmです。


3月 前半 安佐市民病院訪問記

2/21-22に広島県の広島市立安佐市民病院を訪問いたしました。安佐市民病院は広島駅からローカル線で約20分のところにありますが、年間約800件の脊椎手術をこなし、頸椎、腰椎ともほぼ全例で後方、非固定、手術用顕微鏡使用というポリシーの低侵襲手術とともに脊髄モニタリング併用脊髄腫瘍手術も積極的に行っています。術式もオリジナリティの高いものが多く、腰椎変性疾患に対する椎間関節を極力温存した半全周性後方除圧術(SCD)や頸椎神経根症に対するKey hole foraminotomy、さらに頚椎椎間板ヘルニアに対するtransdural approachは国内外を問わずpresentationのたびに整形外科医の間にどよめきが起こります。徹底したポリシーには賛否両論のところもあるようですが、後方支持組織温存のコンセプトや、顕微鏡使用下手術テクニックはぜひとも学んでいくべきだと思っております。