痛みの伝導路は、侵害受容器(神経細胞一次ニューロン)が痛み刺激を受けた後、 →脊髄後角(二次ニューロン)→視床(三次ニューロン)→大脳皮質へ伝導される。 ニューロン同士はくっついているわけでなく、間に神経伝達物質を放出して情報を伝えている。脊髄視床路は、新しい伝導路と古い伝導路があり、

新脊髄視床路:痛みの位置 旧脊髄視床路:痛みと情動

脊髄網様体路:自律神経、運動、内因性鎮痛反応、否定的感情、不安・恐怖が関連した行動

に分類される。 痛みが伝導された後は、痛みの抑制機構が働きいつまでも痛みが続かないようになっている。それが、内因性疼痛抑制系で痛みを自ら抑える仕組みである。

①下行性疼痛抑制系
視床下部→中脳→延髄→脊髄後角 セロトニン系(エンドルフィン、エンケファリンなどは強力で脳内麻薬とも呼ばれる)
ノルアドレナリン系

②ゲートコントロールセオリー
痛むところをさすったりたたいたりして痛みを紛らわせることができる。これは別の刺激を入れることで痛み刺激信号が入る関門を閉じさせる効果があるから。 内因性疼痛抑制系は強力で、戦場でけがをした兵士が痛みを感じないままに前線から野戦病院まで自力で帰ってくることができたという話は多い。ただ、その持続は長くはなく、せいぜい2から3日が限度と言われている。 中脳辺縁系のドパミン・システムについては、 痛み刺激→腹側被蓋野(VTA)→ドパミン放出→側坐核(HYP)→皮質に作用し痛みの抑制 慢性刺激・ストレスが加わると、ドパミンを出す余力がなくなってしまい、いざという時に必要なだけのドパミンを出せません。ドパミンには脳を護ってくれる働きがあり、これが不足すると、睡眠障害、慢性疲労、うつ症状などを引き起こします。

痛みは実際の損傷がある場合だけではなく、生活環境や心理的因子によっても増強する。 長期間の痛み刺激やストレスによって脳が変化し、痛みが慢性化することがわかってきた。 痛みの診断を的確に行い、見合った治療を早期に行うことが慢性化を防ぐために必要と考えられる。