8月下旬 胸腔鏡視下脊椎除圧固定
脊椎内視鏡手術の中でも、胸椎、腰椎前方除圧固定は難易度が高く手術点数も10万点を超える手術手技です。
先日、第12胸椎カリエスに対して胸腔鏡を使用した前方除圧固定を行いました。第12胸椎は横隔膜が着いているため、オープンだと後腹膜からアプローチして横隔膜脚の切離が必要となりますが、胸腔鏡だと胸腔内のみの処置で横隔膜を開けずに済むので手術侵襲が大きく異なります。しかし、整形外科スタッフは、通常胸腔鏡を使用する手術が無いので呼吸器外科の先生のアシストが必要となります。下図のようにアプローチして、無事第12胸椎に到達、ハイスピードドリルで腐骨のソウハを行い、腸骨からトリコルチカルボーンを採骨移植して無事終了することができました。呼吸器外科の先生の協力のおかげです。
8月上旬 Spine論文
アジアの医療の国際化が進んでいます。母国経済の規模が小さいアジア諸国の医師たちは自分たちの研究は世界に発信して初めて価値がでるという環境であるため、最近国際論文への投稿が多くなり、韓国は母国向けの雑誌も英文、海外論文も日本の論文を各分野で追い越してきました。そのような中、今月のSpineに東京医大での大学院での研究が掲載されました。腰部脊柱管狭窄症(変性すべり症)に対して行われた、脊椎固定術で摘出された椎間板を細胞培養して、PCR法、ウエスタンブロット法などによって、疼痛発症に関与するNGF(神経成長因子)の変化を調べたものです。慢性腰痛の機序について新知見を得ることができました。免疫生化学の研究を澤地先生と指導を受けたウチクン先生の共同作業です。ぜひ、ご覧ください (Spine 38,1466–1472,2013)。これからも、世の中に役立つ研究を継続していきたいと思います。