4月後半2 Pierre Roussouly先生
先日行われた日本脊椎脊髄病学会で、フランス、リオンのPierre Roussouly教授の講演がありました。Roussouly先生は、脊椎矢状面アライメントの草分けで論文を通じてとても身近な存在であった気がしたので、講演が終わった後に挨拶に行ったときに初対面であったにも関わらず意気投合するのにあっという間という感じでした。私は立位と座位の脊椎アライメントの研究をしていると言ったら、どこかで私の論文か発表を聞いていたようで腰椎、骨盤固定の際にとても重用な要素となることについてすぐ返事がありました。また、頸椎アライメントについても頸椎アライメントのスタンダーとは前弯でないため、C2-7angleを計測しても意味が少ないともおっしゃっていました。治療戦略としてのフォーミュラは、嫌いだともおっしゃっていました。なぜならば脊椎は隣接との影響をしあうやわらかい線なので、角度を計測しても代償機能があるので設計図どおりにはいかなく意味がないからだとのことです。しかし、ASなどのrigidな場合には意味があるとも話しておられました。動画や引用文献の無いシンプルなスライドと素朴な語り口からは、想像もつかない深い知識と考察、経験にはびっくりしました。下記はRoussouly分類でtypeIは、下位腰椎で前弯が強いもの、type2は、フラットバック、type3は標準、type4はSS45°以上のアライメントです。アメリカの先生も力強くてすばらしいと思いますが、ヨーロッパの先生もすごいなと思いました。
4月後半 脊髄誘発電位
脊椎手術は、骨のみでなく脊髄神経そのものを扱うため一般的に危険のある手術と考えられています。そのため、専門性が高く病態生理を熟知して、術後に発生してくる問題に適切に対処することが重要です。脊椎手術の経験の少ない一般整形、一般脳神経外科医師が専門医の指導をうけずに手術を行うことは危険といえます。専門医が行う脊髄手術においても麻痺の出現、悪化は2~3%で発生すると考えられています。
手術後の麻痺の出現、悪化を予防するため、近年、脊髄誘発電位が手術中に積極的に行われるようになりました。脊髄腫瘍、脊椎アライメントの変形矯正、頸椎、胸椎手術には必須と言えます。
脊髄誘発電位には、MEP(運動誘発電位)とSEP(体性感覚誘発電位)があります。MEPは、錘体路の運動ニューロンを直接刺激して発生するD (direct) waveとシナプスを介した介在ニューロンを刺激して発生したI (indirect) waveから構成されます。SEPは四肢末梢から刺激して脳で記録するのですが、運動神経を反映しないため麻痺の出現に対するモニターとしては不十分であると言えます。 ただし、手術中は全身麻酔下に行われるためどうしても麻酔の影響がでるため錘体路を十分刺激ができない場合も多く、約15%のケースで導出不良例が存在します。複数回刺激、針電極による刺激と導出など工夫を重ねて導出例を増やす努力をしています。
4月前半2 Student doctor
今月から、医学部6年生が2人1か月間、実習に参加します。北條さんと、松原くんです。それぞれが受け持ちを持って、診察、リハビリ、抜糸、手術での縫合などを行います。外科系医師の生活を通して単に知識のみでなく将来の夢を持ってもらえたらなと思います。
リハビリ室に行くだけでなく、病棟でも1人では、病棟歩行が不安定な患者さんの介助をしながら、声掛けをしてはげまし、脈と血圧を計測しながらリハビリを補助します。
4月前半 鈴木G
4月からメンバーが替わります。遠藤、田中、鈴木、西村、依藤、村田、永井です。入院患者さんの管理を鈴木が中心となり脊椎班は鈴木グループとして活動することとなりました。田中は医局長として医局業務がメインとなります。難治症例が多いのですが、安全で安心できる治療ができるように頑張るつもりです。よろしくお願いします。