2021年度、脊椎班紹介
2013年度入局の小西隆允です。現在外傷班で活躍著しい、同期の鎌田先生からバトンをいただき、大変恐縮ですが、自分が現在所属している脊椎班について報告させていただきます。
まず自身の紹介をさせていただきますと、東京医科大学卒業後、神奈川県にある藤沢湘南台病院にて初期研修を行い、自身の成長が母校の発展に繋がればと考え、当医局に入りました。学生時代に柔道の無差別級で戦っており、引退してからも周りからは筋肉質と甘やかされ、30代の今、良く言えば“イイ体格”ですが、要は肥満です。肥満と様々な病気は切っても切り離せない関係であり、当科整形外科の分野においても百害あっても一利なしの関係です。このままではまずいと考え、現在ダイエットに励み、今はまだ患者様に対して反面医師として、将来は生活指導のできる医師として寄り添った医療を目指し日々精進しております。
そんな私が所属させていただいている脊椎班の2020年度は新型コロナウイルス感染症流行による非常に厳しい状況下ではありましたが、各スタッフが細心の注意をはらい、脊髄腫瘍、首下がり、変形矯正、内視鏡、MISと多彩な手術を行い、306件の手術を行うことができました。
2021年4月より西村浩輔班長のもと、新体制となり、依然厳しい状況ではありますが、今までと変わらず、またそれ以上に計画的に、安全に、最先端のチーム医療を患者様に提供できるよう、臨床に研究にその歩みを止めることなく前に進み続けております。
基幹病院として、高難度手術を行うことはもちろんですが、低侵襲治療にも力を入れております。その中でも腰椎椎間板ヘルニアに対して身体を切ることなく治療出来るヘルニコア(コンドリアーぜ)を用いた椎間板融解術を、当院では2018年11月には診療に取り入れております。2019年には42件施行しており、これは読売新聞が実施した主な医療機関の治療実績によると東京都では一番多い数です。また2020年以降も51件施施行しております。このコロナ禍で運動不足になる方が増え、コロナ太りによる肥満や、リモートワークとなり長時間のデスクワークも増えてきたことより、以前にもまして腰椎椎間板ヘルニアの患者様は増えている印象でこれからもその需要は高まるばかりと考えております。
今回紹介する症例は1年前からの腰痛、左下肢痛で他院で腰椎椎間板ヘルニアの診断を受けており、鎮痛薬や神経根ブロックで経過見られておりましたが、症状改善なく紹介となった38歳男性の方です。働き盛りであり、仕事をそんなに休むことができず、手術のための長期入院は困難ということもありヘルニコアを希望されました。
L5/Sの腰椎椎間板ヘルニアで穿刺の難しい症例でありましたが、最新の設備で問題なく椎間板融解術を施行しました。術後、薬剤の性質上、腰痛の一時増悪を認めましたが、3ヶ月後にはヘルニアの消退を認め、1年間困られていた腰痛、左下肢痛の改善を認めました。
ヘルニコアがその患者様の人生で一回しか使用できない薬剤という特性に対し、数多い経験からその適応を適切に判断し、提供できると考えております。
当科ではその他に運動器エコーを用いた診断・治療も行っており、また金澤慶先生が熱海所記念病院で行っている微細血管塞栓術を用いた運動器カテーテル治療も今後放射線科と連携を図り取り組む方針で、今後も従来の保存療法、手術療法だけでなく刻々と変化する状況に対応して患者様に寄り添っていければと思っております。
写真2:最新の透視設備
写真3:椎間板融解術の施行風景