今回は研修先のHospital for Special Surgery (HSS)に関するお話です。
Vol. 1でも少しお話ししましたが、HSSは、ニューヨーク、マンハッタンのアッパーイースト(高級住宅街)にある1863年に設立された整形外科領域に特化した病院です。U.S. News & World Report誌の整形外科部門で全米第1位(14年連続)、リウマチ部門で第2位(2023-2024年)、U.S. News & World Report誌の「ベスト小児病院」リスト(2023-2024年)でNY、NJ、CT州で最高の小児整形外科病院と評価されています。またニューズウィーク誌が20カ国以上の医療関係者を対象に実施した調査では、HSSは整形外科部門で3年連続世界第1位(2023年)にランクされています。整形外科の再入院率が全米で最も低く、感染症や合併症の発生率も最低レベルとされるのも理由の一つです。詳細はwww.hss.edu
またHSSの周りには関連施設であるWeill Cornell Medical Centerをはじめ、The Rockefeller University Hospitalなど多くの医療施設があり、5番街とは違い街中をスクラブで歩く医療関係者が多い印象です。
よって病院のあらゆるところにNo. 1アピールが。。。
その中で私が研修を行なった部署は、Adult Reconstruction and Joint Replacementであり、まさに人工股関節、膝関節置換術を行うことを目的としています。HSS全体で年間に約3万件の整形外科手術を行い、そのうち約1万2千件もの人工関節手術(股、膝関節でそれぞれ6000件ほど)を行なっています。日本の施設だと多くても千単位のレベルかと思いますが、万単位は驚きです。手術室は、メインフロアーに25 room、別フロアにも9 roomほどあり、毎日朝からほぼ全てのroomで整形外科手術を行なっているため、納得のspecialな数字です。
Main campusには約30人の人工関節専門Drがおり、私のホスト2人(Seth A. JerabekとJonathan M. Vigdorchik)もそこに所属しています。ただ各々がそれぞれofficeを持ち、秘書やPhysician assistantを雇い手術を行っており、日本のいわゆるピラミッド式の医局体制とは大きく異なります。経営者に近いでしょうか。それぞれメリット・デメリットはあると思いますが、やはりアメリカは実力社会なのだと感じました。
“自分の頑張り次第で報酬が得られるシステムは悪くないですね、医局長・・”と自問自答してみるマンハッタン、アッパーイーストの夜。
石田常仁
対岸のルーズベルト島から見たHSSの外観 (東京医大病院と似てる?)