2月後半 頸椎症の最近の話題(椎弓形成術後の後弯)

頸髄症に対する椎弓形成術は、多椎間にわたる狭窄に対して不安定性を発生することなく頸椎の可動域を温存できるすぐれた手術方法であることが知られています。椎弓切除に比較して後方要素を温存するため術後の後弯発生も少なく、多椎間にわたるプレートやスクリューを使用した固定術よりも合併症が少ないという利点を持っています。
多くの椎弓形成術は、術前、術後に頸椎前弯が保たれて行われますが、中には術後頸椎後弯が発生して術後経過が不良となり、再手術が必要となる場合も存在します。術前にその予測を行えることができたならば、椎弓形成術の成功率を上昇させることができます。昨年のSpineに韓国Anyang,にあるHallym University Sacred Heart HospitalのTae-Hwan Kim先生が、術前にT1の傾斜が大きい症例では、術後後弯が発生しやすいと発表されました。私たちは、C7傾斜を使用したアライメント研究を行っていますが、概念としては同じだと思います。下位頸椎の術前傾斜に注目することは、今後の椎弓形成術に大変役立つ情報だと思います。

 

 

2月前半 高齢者の頸椎アライメント

久しぶりに東京で大雪が降りました。その日、名古屋大学でNagoya Spine group(NSG)の頸椎セミナーが開催され、高齢者の頸椎アライメントについて講演をしてきました。人はみな高齢になると中下位腰椎の椎間板が減少するために腰椎前弯が減少し、体の重心線が前方に移動して前かがみのような姿勢となります。反対に、頸椎は腰の前曲りを補おうとするように逆反りしてきます。歩行時は骨盤が前傾するためにその傾向はよりはっきりしてきます。それは体をまっすぐにして安定して立ったり歩くための頸椎の代償機能と言えます。そのため、高齢者は前を歩こうとすると頸椎の前弯は強くなるため椎間関節での頚部痛がでてきたり、頸椎の後方からの圧迫に弱くなるために後方要素による頸髄症が出現しやすくなります。しかし、頸椎の代償機能が破綻すると、首を反らすことができなくなり胸椎に続いて前側に傾斜した首下がり状態になることがあります。
首下がりには、自然に軽快するものとしないものがあります。頸胸椎移行部から傾斜しているタイプには、鎖骨バンド固定を、中下位頸椎の2椎間の椎間板障害が原因となるものにはポリネックを使用し、3か月の経過で悪化してくるようならば手術を検討します。
NSGセミナーでは、そのようなことを話してきました。

 

2上旬 OBとの写真

当科は、1929年以来、80年以上の歴史をもつ伝統のある医局でたくさんのOBによって支えられています。
忘年会では多くのOBが参加していただき、脊椎であいさつに行ったとき、OBの先生達と一緒に写真をとりました。